「公務員獣医って安定してていいよね」と言われがちですが、実際に働いてみると「これ、自分に向いてないかも」と思う瞬間は少なくありません。
この記事では、食肉衛生検査所4年・家畜保健衛生所3年の勤務経験を持つ元公務員獣医師が、リアルに『向いてない』と感じた瞬間を5つ厳選して紹介します。
※この記事は、現在進路に悩む公務員獣医師の方、転職や休職を検討している方に向けて書かれています。
公務員獣医に向いてないと思った瞬間①|防疫作業で体が限界を迎えたとき

最も「向いてない」と思ったのは、鳥インフルエンザが発生した農場での防疫作業でした。
- 12時間ぶっ通しの作業
- 休憩15分、水分はポカリ1本、トイレ1回
- 寒さと脱水で心臓が痛すぎて、しゃがみ込む
そのとき、上司からかけられた言葉は「体調崩したら迷惑だから、何とか頑張って」。
「もう立場とかどうでもいい。投げ出して帰りたい」と本気で思いました。
法定伝染病の防疫作業は最重要業務であることは理解していましたが、狭心症気味になるまで働くのが正解なのか考えさせられた瞬間でした。

その上司は普段は優しい人です。防疫作業はどうしても精神体力ともに極限まで追い込まれます。
公務員獣医に向いてないと思った瞬間②|数年おきの異動でやつれる生活


公務員は原則、2~3年で人事異動があります。
配属先が変わるだけでなく、人間関係もすべてリセット。異動先では気を遣い続け、6月ごろまでは食欲も落ちてやつれていました。
「また最初から人間関係を築くのか…」という繰り返しに、心身が疲弊していきました。
柔軟な異動希望が通る自治体もありますが、筆者の経験では「職種か勤務地のどちらかしか希望が通らない」という厳しい状況でした。



「人事課への願い事は一つしか叶わない」が暗黙ルールでした
公務員獣医に向いてないと思った瞬間③|現場の声が制度に届かない虚しさ


家畜保健所では、農林水産省からの制度改正に関する意見募集があります。
農家や現場からの声を届けたくて、業務後に残業してまで意見を出していましたが、返信は「ご意見参考にいたします」の定型文ばかり。
「制度を変えるために頑張っても、何も変わらないのか」と虚しさを感じました。
現場の意見は反映されない仕組みに、次第にモチベーションも失われていきました。



国家公務員の方と話すと、地方公務員より激務で非効率な業務内容で絶句しました
みんな今ある仕事に手いっぱいで、改善までできないのが現実です。
公務員獣医に向いてないと思った瞬間④|スキルが積み上がらない働き方


民間の動物病院で働く同期が、診察や手術のスキルを積み上げていく中、
- 食肉検査や採血・解剖の業務ばかり
- 体感では現場3割、事務作業7割
という業務配分に、「自分は獣医師として成長できていないのでは」という焦りが常にありました。
転職を考えたとき、公務員獣医としてのキャリアが民間では活かしにくいという現実にも直面しました。



リモートで働きたくても、小動物臨床の経験必須の求人が多い
一人でいい求人にたどり着くのは、公務員獣医にとっては至難の業です。
公務員獣医に向いてないと思った瞬間⑤|やりがいを感じられない“行政の壁”


行政業務特有の「やりがいを感じにくい瞬間」もあります。
- 月報作りに大量の印刷・手書き・ハンコ作業
- 業績発表会の準備で2〜3か月の残業続き
新しいシステムが導入されても効率化されることはほとんどなく、むしろ事務作業が増えることも。
「もっと効率的にできるのに」「この労力は本当に必要?」と感じながら働くのは苦痛でした。
それでも公務員獣医を7年辞めなかった理由


筆者がすぐに辞めなかった理由は、「公務員という立場である以上、安全性や公平性を守るために非効率でも仕方がない」と思うようにしていたからです。
税金で給与が出ている以上、ルールに従うしかない。そう思って折り合いをつけていました。
公務員で何か変えようと思ったら、数年単位の根回しが必要です。情けない話、私にその気力はなかったです。
公務員獣医に「向いてない」と感じたら


結論として、公務員の仕事や制度は短期的に変わるものではありません。変化を望むなら、
- 自分の考え方を変える
- 長いスパンで環境を変える努力をする
- もしくは辞めて外の世界を見る
「長い時間、耐えられない」と思ったら、辞めるのも十分“あり”です。
自治体への奨学金を返し終えり、業務内容を一通り経験したタイミングでスパっと辞める人は毎年います。
まとめ:あなたにとっての「向いてる仕事」は別にあるかもしれない


公務員獣医が「向いてない」と思うのは、決して特別なことではありません。
- 限界まで働かされる防疫作業
- 終わりのない異動と人間関係
- 届かない現場の声
- 積み上がらないスキル
- 意味の見えない事務作業
少しでも共感する部分があった方は、「このままでいいのか」と立ち止まるきっかけにしてください。
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